特定保健用食品と機能性表示食品の違いを徹底解説
健康志向が高まる中、「トクホ」や「機能性表示食品」という言葉をよく見かけますよね。どちらも“体に良さそう”な印象がありますが、実はこの2つには大きな違いがあります。
この記事では、制度の背景や審査の仕組み、選び方のポイントをわかりやすく解説します。
◆ 特定保健用食品(トクホ)とは?
「特定保健用食品(トクホ)」とは、消費者庁の個別審査・許可を受けた食品のことです。
企業が行った臨床試験などの科学的根拠を提出し、「この食品は〇〇の働きがあります」と表示してもよいと認められた製品だけが「特定保健用食品」として販売できます。
例えば、「お腹の調子を整える乳酸菌飲料」や「血圧が高めの方に適したお茶」などがこれにあたります。
パッケージには、必ずトクホマーク(人の形をしたロゴ)が表示されています。
◆ 機能性表示食品とは?
一方、「機能性表示食品」は2015年に始まった制度で、企業の自己責任で機能性を表示できる食品です。
特定保健用食品のような国による個別審査は不要で、販売前に消費者庁へ“届出”を行えば販売可能になります。
例えば、「目のピント調節をサポートする成分を含むサプリメント」や「脂肪の吸収を抑える飲料」などがあります。
ただし、国が効果を保証しているわけではなく、企業が科学的根拠を持って説明責任を果たす必要があります。
◆ トクホと機能性表示食品の違いを比較
項目 | 特定保健用食品(トクホ) | 機能性表示食品 |
---|---|---|
制度開始 | 1991年 | 2015年 |
審査・許可 | 国(消費者庁)が個別審査・許可 | 企業が根拠を示して届出のみ |
効果の信頼性 | 国が科学的根拠を審査して許可 | 企業の責任で根拠を提示(国は審査しない) |
表示マーク | トクホマーク(人型のロゴ)あり | マークなし |
対象食品 | 飲料・お茶・乳製品など | サプリメント・一般食品など広範囲 |
販売までの期間 | 審査に1~3年かかる | 届出後60日程度で販売可能 |
コスト | 数千万円以上の臨床試験費用が必要 | 比較的低コストで実施可能 |
◆ 消費者庁が審査する「トクホ」
トクホは、国が科学的根拠を厳しく審査するため信頼性が高いのが特徴です。
ただし、その分コストと時間がかかるため、限られた大企業の商品が多い傾向にあります。
たとえば、「血糖値の上昇を穏やかにする」「腸内環境を整える」など、具体的な健康効果を表示できます。
トクホマークがあることで、消費者にとっても安心感が生まれます。
◆ 自己責任で機能を示す「機能性表示食品」
機能性表示食品は、企業が自らのデータや研究論文をもとに届出を行い、その内容を消費者庁のサイトで公開します。
つまり、国が認めているわけではなく、あくまで「科学的根拠があると企業が主張している」段階です。
とはいえ、研究データがしっかりしている企業も多く、価格も比較的手ごろなため、消費者にとって選択肢が広がったというメリットもあります。
◆ 消費者が注意すべきポイント
どちらを選ぶにしても、表示内容を鵜呑みにせず、「根拠」「責任主体」「公的審査の有無」を確認することが大切です。
- トクホ:国が審査 → 高い信頼性
- 機能性表示:企業の責任 → 情報開示が重要
消費者庁の公式サイトでは、すべての届出内容が閲覧可能です。購入前に確認してみるのもおすすめです。
◆ まとめ:トクホと機能性表示食品の違い
両者の一番の違いは、国の審査があるかどうかにあります。
トクホは「国が保証」、機能性表示食品は「企業が責任を持つ」という立場です。
健康を意識して食品を選ぶ際は、どちらの制度で表示されているかをチェックして、自分の目的や信頼度に合ったものを選びましょう。
まとめポイント
- トクホ=国が審査し、効果を許可した食品
- 機能性表示食品=企業の責任で効果を表示した食品
- トクホは信頼性が高く、機能性表示食品は手軽で多様
健康志向の高まりとともに、この2つの制度を正しく理解し、自分に合った選択をすることがますます重要になっています。
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