「気にする」と「気になる」の違いをわかりやすく解説|使い分けと例文付き
日常会話でよく耳にする「気にする」と「気になる」。
どちらも「気」という言葉を使った表現ですが、実は意味と使い方には明確な違いがあります。
この記事では、「気にする」と「気になる」の違いを感情の方向やニュアンスから丁寧に解説します。
◆ 「気にする」とは
「気にする」は、自分の意識を相手や物事に向けることを表す言葉です。
つまり、「意識している」「気を配っている」「心配している」など、自分の意志が働いている状態を示します。
たとえば:
- 人の目を気にする(=他人の視線を意識している)
- ミスを気にする(=失敗を引きずっている)
- 髪型を気にする(=自分で注意を払っている)
このように「気にする」は、自分が何かに意識を向けている・こだわっているニュアンスがあります。
◆ 「気になる」とは
「気になる」は、自分の心に自然と引っかかる・意識が向いてしまう状態を表します。
「気にする」と違って、自分の意志ではなく自然に心が向くときに使われます。
たとえば:
- あの人が気になる(=意識せずとも目が行ってしまう)
- 結果が気になる(=自然に心配してしまう)
- 天気が気になる(=つい考えてしまう)
つまり、「気になる」は受け身的・自然発生的な感情を表すのが特徴です。
◆ 「気にする」と「気になる」の違いを比較表で整理
| 項目 | 気にする | 気になる |
|---|---|---|
| 意味 | 意識的に注意・心配する | 自然に心に引っかかる・興味を持つ |
| 感情の方向 | 自分の意志で「気を向ける」 | 勝手に「気が向いてしまう」 |
| ニュアンス | 心配・不安・配慮などの意図的行動 | 興味・不安・違和感などの自然な感情 |
| 例文 | 「周囲の評価を気にする」 | 「周囲の評価が気になる」 |
| 使われる場面 | 意識して気を配るとき | 無意識に心が向くとき |
◆ 感情の違いを例文で理解しよう
同じような意味に見えても、使うときの感情が異なります。
◎ 例1:「他人の目を〜」
- 気にする:他人の目を意識して行動する(=自意識が強い)
- 気になる:他人の目がどうしても頭から離れない(=心がとらわれている)
◎ 例2:「テストの結果を〜」
- 気にする:結果を気にして緊張している・考えすぎている
- 気になる:自然と結果のことを思い出してしまう
◎ 例3:「あの人を〜」
- 気にする:相手を意識している・警戒している
- 気になる:恋愛感情や興味がある
このように、「気にする」は意識的、「気になる」は無意識的な違いがあります。
◆ ビジネスや日常での使い分け
◎ ビジネスでは「気にする」を多用
ビジネスメールや会話では、「気にする」を使う場面が多く見られます。
「相手に配慮している」「注意を払っている」というニュアンスを伝えることができるためです。
例文:
「細部まで気にして確認してください。」
「お客様のご意見を気にして改善しています。」
◎ 「気になる」は状況報告や感情表現に
自然な心情や違和感を伝える際は「気になる」が適しています。
例文:
「最近、売上の変化が気になります。」
「このデザイン、少し気になりますね。」
◆ 「気にしない」と「気にならない」の違いにも注目
逆の表現でも微妙な違いがあります。
- 気にしない:意識して無視する(=意志的にスルーする)
- 気にならない:そもそも気にかからない(=自然に無関心)
たとえば、「失敗を気にしない」は「気を強く持つ」という前向きな意味ですが、
「失敗が気にならない」は「もう意識の外にある」という状態を表します。
◆ まとめ:「気にする」と「気になる」の違い
- 「気にする」= 意識的に注意・配慮する(能動的)
- 「気になる」= 自然と心が引っかかる(受動的)
- 感情の方向は「自分 → 物事」か「物事 → 自分」かで違う
- ビジネスでは「気にする」、感情表現では「気になる」が自然
どちらも似た表現ですが、使い分けることで伝わる印象が大きく変わります。
相手や状況に応じて、自然で適切な言葉選びを心がけましょう。


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