おみくじを木に結ぶ理由とは?運を結ぶ日本の信仰文化
神社やお寺でおみくじを引いたあと、木の枝や専用の結び所におみくじを結ぶ人をよく見かけますよね。
しかし「なぜ木に結ぶのか?」と聞かれると、明確に説明できない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、おみくじを木に結ぶ理由や意味、正しい結び方などを日本の信仰文化の観点から詳しく解説します。
おみくじとは何か?
おみくじは「神仏のお告げ(神意)」を受け取るためのくじです。
日本では平安時代から神社で「神意を伺う」ための儀式として使われており、
現在のように「運勢を占う」形になったのは江戸時代以降とされています。
くじの内容には、「大吉」「中吉」「小吉」「末吉」「凶」などの運勢のほか、
願い事・恋愛・健康・仕事などさまざまな項目に対する神のメッセージが書かれています。
おみくじを木に結ぶ理由
① 「悪い運勢を木に留める」ため
最もよく知られている理由は、「悪い運勢を木に結びつけて、これ以上悪くならないようにする」という考え方です。
昔から「木」には神が宿るとされ、神聖な存在として扱われてきました。
その神聖な木に悪い運勢を“結びつけて封じ込める”ことで、自分の身代わりに厄を引き受けてもらうのです。
② 「良い縁・運を結ぶ」ため
もう一つの意味は、逆に「良い運をしっかり結びとめる」という前向きな願いです。
「結ぶ」という行為は、古来より“縁を結ぶ”“運をつなぐ”という意味を持ちます。
そのため、大吉を引いた場合も「この良い運を逃がさないように」との思いで結ぶ人も多いのです。
③ 神と人を“結ぶ”象徴
おみくじを木に結ぶ行為には、「神と人とのつながりを結ぶ」という意味もあります。
おみくじは神様からのメッセージであり、それを木に結ぶことで「神様とのご縁を深める」「祈りを形にする」行為になるのです。
木に結ぶようになった由来
古代の日本では、神聖なものや願い事を「木」に託す風習がありました。
「木霊(こだま)」という言葉にもあるように、木には神霊が宿ると信じられていたのです。
その信仰がやがて「神の木に願いを結ぶ」「神の木に厄を託す」という形に発展し、
現在のおみくじ結びの風習へとつながっていきました。
木以外の場所に結ぶのはなぜ?
最近では、自然保護や神社の景観を守るために、木ではなく専用のおみくじ掛け(結び台や金属製のワイヤーなど)が設置されています。
木の枝に直接結ぶと木が傷ついたり、結びつけすぎて枯れてしまうこともあるため、
神社によっては「専用の結び所を使ってください」と案内している場合があります。
つまり、木そのものが重要なのではなく、「神に願いを結びつける」という行為こそが大切なのです。
結ぶ場所や結び方に意味はある?
おみくじを結ぶ位置や向きに厳密な決まりはありませんが、いくつかの習わしがあります。
| 運勢の種類 | 結ぶ・持ち帰るの考え方 |
|---|---|
| 大吉・中吉など良い運勢 | 「良い運を身につけたい」として持ち帰る人が多い |
| 凶・末吉などあまり良くない運勢 | 「悪運を留めておく」ために結ぶのが一般的 |
また、しっかりと「結ぶ」ことで願いが「ほどけずに叶う」とも言われています。
結び方にこだわる人は、願い事を心の中で唱えながら丁寧に結ぶとよいでしょう。
おみくじを結ぶ時のマナー
- 神社やお寺が指定している場所に結ぶ
- 木の枝を折ったり、無理に引っ張ったりしない
- ゴミを残さず清らかに結ぶ
おみくじは神様との大切な対話です。結ぶ際も、感謝と敬意の気持ちを忘れないようにしましょう。
まとめ:おみくじを結ぶのは「願いを神に託す」行為
おみくじを木に結ぶのは、単なる習慣ではなく、
神様に運勢や願いを託す祈りの形なのです。
- 悪い運を木に留め、良い運を結びとめる
- 「結ぶ」行為に“縁をつなぐ”という願いがある
- 神と人とのつながりを表す神聖な所作
おみくじを引いたときは、ただ結果を見て一喜一憂するだけでなく、
神様からの言葉として受け止め、心を込めて結んでみましょう。
その一つひとつの所作が、運を呼び寄せるきっかけになるかもしれません。


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