固定残業代(みなし残業)の仕組みをわかりやすく解説
企業で働く皆さんの中には、「固定残業代」「みなし残業」という言葉を聞いたことがある人も多いはずです。
この記事では、固定残業代の基本的な仕組み・計算方法・メリット・デメリット・注意点まで、わかりやすく解説します。
1. 固定残業代(みなし残業)とは?
固定残業代(みなし残業)とは、実際の残業時間に関係なく、あらかじめ一定時間分の残業代を給与の一部として支払う制度のことです。
法律では「割増賃金の前払い」ではなく、実際の残業時間を合算して処理する形が原則です。
2. 固定残業代の仕組み
固定残業代は、「基本給」と「みなし残業代」が合算された形で給与明細に記載されます。たとえば、
- 基本給:200,000円
- 固定残業代:30,000円(20時間分のみなし残業)
という場合、実際に20時間以下の残業であれば追加支給はありませんが、20時間を超える残業がある場合は、超過分の残業代を別途支給する必要があります。
3. 計算方法(具体例)
固定残業代は、時間単価 × 割増率 × みなし時間で計算されます。例:
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 基本給 | 200,000円 |
| 時間単価 | 200,000 ÷ 月所定労働時間160 = 1,250円 |
| 残業割増率 | 25% |
| みなし残業時間 | 20時間 |
| 固定残業代 | 1,250 × 1.25 × 20 = 31,250円 |
このようにして、月の給与として一定分の残業代を先に支給します。
4. 固定残業代のメリット
- 給与計算が簡便になる
- 残業が安定的に多い働き方の場合、予め給与に反映しやすい
- 企業側の管理コストを削減できる
5. デメリットと注意点
固定残業代にはメリットだけではなく、次のような注意点があります。
- みなし残業時間を超えた残業が発生した場合は、追加で残業代を支給する必要がある
- 固定残業代を設定していても、実際の残業代支給が不足すると違法になる可能性がある
- 労働者側が残業時間を適切に把握しにくい
6. 関連する休日・労働時間の基本
固定残業代に関連する労働時間の考え方として、休日出勤や法定労働時間のルールも理解しておきましょう。
休日出勤や労働時間についてはこちらも参考にしてください:
7. トラブルを防ぐためのポイント
固定残業代を正しく運用するには、以下の点が重要です。
- 就業規則や労働契約書に明確な記載を行う
- 固定残業時間と超過分の扱いを丁寧に説明する
- タイムカードや勤怠管理システムで時間を正確に把握する
8. まとめ
固定残業代(みなし残業)は、給与の一部としてあらかじめ残業代を支給する制度です。
適切に設定・管理されれば企業・労働者双方にメリットがありますが、適法性や実際の残業時間との整合性に注意が必要です。
ポイントは、超過分の残業代支給が必要かどうかを常に意識しておくことです。

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