昇給は義務ではない?会社と社員の権利・制度をわかりやすく解説
「昇給があるのは当然」「毎年昇給されるはず」と考える人は多いですが、実は“昇給は義務ではない”という原則があります。本記事では、昇給の法的な位置づけや企業側の裁量、社員が知っておくべきポイントを詳しく解説します。
目次
昇給とは?基本の意味
「昇給」とは、従業員の給与が上がることを指します。一般的に年に1回、成果や勤続年数に応じて給与が見直されるケースが多いですが、これはあくまで慣行であり、会社が必ず実施しなければならない制度ではありません。
昇給は法律で義務になっている?
結論から言うと、昇給自体は法律で義務化されていません。日本の労働基準法では、最低賃金や残業代など給与の最低基準は定められていますが、昇給について直接的な義務付けはありません。
これは、企業ごとに経営状況や人事制度が異なるためであり、必ずしも毎年給与を上げないといけないというルールは存在しません。
昇給が義務ではない理由
- 法律に明確な規定がない
- 企業の人事・評価制度は裁量に任されている
- 業績や市場環境によって変更があり得る
就業規則と昇給の約束
会社は「就業規則」の中で昇給ルールを定めていることが多く、この内容が社員との合意内容として扱われます。
就業規則に具体的な昇給基準が書かれている場合、会社はそのルールに従う義務があります。しかし、就業規則に「昇給は会社の裁量」とあれば、会社は必ず昇給を行う必要はありません。
つまり、法律ではなく就業規則や労働契約が昇給制度の根拠になります。
昇給制度の有無を確認するポイント
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 就業規則 | 昇給の条件・頻度・裁量の有無 |
| 雇用契約書 | 昇給について明記があるか |
| 賃金規程 | 昇給基準や評価方法の詳細 |
このように、就業規則や契約書を確認することで、自分の会社がどのような昇給ルールを採用しているか理解できます。
昇給トラブルのよくある事例
実際によくあるトラブル例をいくつか見ていきましょう。
ケース1:毎年昇給がなかった
入社から数年、昇給が一度もない場合、「昇給は当然」という意識で不満を抱く社員もいます。しかし、会社が就業規則で「昇給は業績・評価による」と明示していれば、法的な義務はありません。
ケース2:昇給条件が不明確
基準が曖昧だと評価と昇給の関係が見えにくく、社員の不満が募ります。可能であれば人事評価制度の透明化を会社に求めることも検討しましょう。
昇給がないときにできる対応
もし自分の会社で昇給がなかった、または理由が不明瞭な場合、以下のような対応が考えられます。
- 就業規則・契約書の確認
- 上司や人事に昇給制度・評価基準を質問
- 自己評価シートや成果の記録を整備
- 労働相談窓口で客観的なアドバイスを得る
昇給が義務でないからといって、不満を抱えたままにせず、自分のキャリアや評価制度について積極的に確認していくことが大切です。
なお、給与全般について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください:昇用と給与の基本まとめ
まとめ
昇給は法律で義務化されているわけではなく、企業ごとの制度や就業規則に基づいて実施されます。昇給制度がある場合でも、評価基準や適用条件は会社ごとに異なるため、就業規則や契約内容をよく確認することが大切です。
社員としては、自分の評価や昇給制度について積極的に理解し、必要であれば会社とコミュニケーションを取ることで納得のいくキャリア形成を目指しましょう。

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