不利益取扱いの違法性とは?労働法上の判断基準
職場で「自分だけ不利な扱いを受けている」と感じたことはありませんか。
賃金を下げられた、配置転換を命じられた、昇進の対象から外されたなど、
こうした対応は不利益取扱いに該当する可能性があります。
本記事では、不利益取扱いの違法性について、労働法の観点からわかりやすく解説します。
不利益取扱いとは何か
不利益取扱いとは、労働者に対して不利な処分や扱いを行うことを指します。
すべての不利益取扱いが直ちに違法となるわけではありませんが、
正当な理由がない場合や法律で禁止されている理由による場合は違法となります。
例えば、次のような行為が不利益取扱いとして問題となることがあります。
- 特定の労働者だけ賃金や賞与を下げる
- 解雇・降格・減給などの懲戒処分を不当に行う
- 嫌がらせ目的で配置転換や業務変更を行う
- 相談や申告をしたことを理由に不利な扱いをする
不利益取扱いが違法となるケース
不利益取扱いが違法となる代表的なケースには、以下のようなものがあります。
- 性別、年齢、国籍、妊娠・出産などを理由とする取扱い
- ハラスメント被害を訴えたことへの報復的な処分
- 労働組合活動を理由とする解雇や降格
- 法律で保障された権利を行使したことへの不利益処分
これらは労働基準法や男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などで
明確に禁止されており、違法と判断される可能性が高くなります。
違法性の判断ポイント
不利益取扱いの違法性は、次の点を総合的に見て判断されます。
- 不利益の内容や程度はどのくらいか
- 業務上の合理的な理由があるか
- 就業規則や労働契約に基づいているか
- 他の労働者との取扱いに不合理な差がないか
会社側が「業務上必要だった」と主張しても、
その理由が客観的に合理的でなければ違法とされることがあります。
不利益取扱いを受けた場合の対処法
違法な不利益取扱いが疑われる場合、泣き寝入りする必要はありません。
次のような対応が考えられます。
- 人事部や社内相談窓口に相談する
- 労働組合や外部相談窓口を利用する
- 労働基準監督署や労働局へ相談する
- 労働審判や訴訟を検討する
その際、メールや評価資料、就業規則などの証拠を残しておくことが重要です。
差別的取扱いやハラスメントとの関係
不利益取扱いは、差別的取扱いやハラスメントと深く関係しています。
特に、ハラスメントを理由とした不当な配置転換や降格は問題となりやすいです。
差別的取扱いの禁止については、以下の記事も参考になります。
まとめ
不利益取扱いは、正当な理由がなければ違法となる可能性があります。
特に法律で保護された権利を行使したことを理由とする不利益処分は、
厳しく制限されています。
「おかしい」と感じたときは、一人で抱え込まず、
早めに相談・行動することが大切です。

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