紅白が“おめでたい色”になった理由|日本文化の由来と意味を解説
日本のお祝い事といえば、「紅白」を思い浮かべる人が多いでしょう。
紅白まんじゅう、紅白幕、紅白歌合戦など、私たちの生活の中には「紅白」があふれています。
では、なぜこの「紅」と「白」が“おめでたい色”とされてきたのでしょうか?
この記事では、その由来や歴史、意味を文化的背景とともに詳しく解説します。
紅白が使われる場面とは?
まずは、紅白が使われる代表的なシーンを見てみましょう。
- 結婚式(紅白の幕やリボン)
- お祝いの贈り物(紅白の水引)
- 運動会(紅白のチーム分け)
- 年末の「NHK紅白歌合戦」
- 卒業式や入学式の紅白幕
このように、紅白は「祝い」「勝負」「始まり」といった場面で使われる色です。
つまり、紅白には「区切り」や「けじめ」という意味も含まれています。
紅色(赤)の意味:生命と喜びの象徴
日本では古来より、「赤」は生命力と魔除けを意味する色として扱われてきました。
赤ちゃんに「赤い産着」を着せる風習があるのもそのためです。
また、神社の鳥居やお守り袋にも赤が使われています。
これは「赤色が邪気を払い、命を守る」と信じられてきたからです。
さらに、赤は「血の色」「太陽の色」とも言われ、命や温かさを象徴します。
このことから、赤=「生」や「陽」を意味し、祝いの場にふさわしい色と考えられるようになりました。
白色の意味:清浄と新しい始まり
一方、「白」は清らかさ・純粋・神聖を表す色です。
古代日本では、白は「神に仕える衣の色」として、神聖な儀式や祭祀でよく使われました。
また、結婚式で花嫁が白無垢を着るのも「新しい人生を真っ白な状態から始める」という意味が込められています。
つまり、白は「リセット」や「新しいスタート」を象徴する色でもあるのです。
紅白の組み合わせの意味:陰陽の調和
「紅」と「白」が一緒に使われるようになった背景には、陰陽思想(いんようしそう)があります。
古代中国から伝わったこの考え方では、すべてのものは「陰」と「陽」の二つの要素で成り立つとされます。
「赤=陽」、「白=陰」とされ、この二つが調和することで「完全」「安定」「幸福」を生むと考えられました。
そのため、紅白の組み合わせは「幸せのバランス」や「調和」を意味し、縁起の良い色として日本に根付きました。
紅白が“おめでたい色”として広まった歴史
紅白の文化が日本に広まったのは、平安時代以降といわれています。
宮中の儀式や祝宴では、衣装や装飾に紅白が使われるようになり、
やがて庶民の間でも「お祝いの色」として定着しました。
特に江戸時代になると、「紅白餅」「紅白まんじゅう」などの風習が生まれます。
明治時代には、紅白の幕やリボンが学校行事や式典で使われ始め、現代に至るまで続いています。
紅白の象徴を比較してみよう
| 色 | 意味・象徴 | 関連する風習 |
|---|---|---|
| 紅(赤) | 生命力・情熱・魔除け・喜び | 鳥居、赤ちゃんの産着、紅白まんじゅう |
| 白 | 清らかさ・神聖・始まり・純潔 | 白無垢、神事、初詣の装束 |
| 紅白 | 調和・幸福・お祝い・勝利 | 紅白幕、紅白歌合戦、運動会 |
紅白が使われる「勝負」の意味
紅白はお祝いだけでなく、「勝負ごと」にも使われます。
たとえば運動会では「紅組」「白組」に分かれて競いますね。
この風習は、平安時代の宮廷遊び「打毬(だきゅう)」が由来とされ、
貴族が紅と白のチームに分かれて勝敗を競ったのが始まりです。
つまり、紅白は「正々堂々と戦い、互いを讃える」意味も持っているのです。
現代でも愛される紅白の文化
紅白の色は、現代でもさまざまな形で使われ続けています。
紅白歌合戦、紅白まんじゅう、紅白リボン、紅白の旗など——
どれも「おめでたい」「楽しい」「希望に満ちた」印象を与えてくれます。
SNS映えを意識した和スイーツやお正月飾りなどでも、紅白カラーが人気です。
このように、紅白は“古くて新しい”日本の伝統色と言えるでしょう。
まとめ:紅白は「命」と「清らかさ」の調和
紅白が“おめでたい色”とされる理由は、単に見た目の華やかさだけではありません。
そこには、古代から受け継がれてきた生命への感謝・清らかな始まり・調和の願いが込められています。
紅白を見ると自然と心が明るくなるのは、そんな深い文化的意味があるからかもしれません。
次に紅白の幕やまんじゅうを見かけたときは、ぜひその背景にある「日本人の祈り」を感じ取ってみてください。


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