ヨーロッパの爵位を上級順に解説|公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の違いをわかりやすく説明
歴史の本やドラマ、物語の中で登場する「公爵」「伯爵」といった貴族の称号。
これらはヨーロッパの爵位(しゃくい)と呼ばれ、はっきりとした序列が決まっています。
しかし、言葉だけ聞くと「何がどう違うの?」「どっちが偉いの?」と迷う方も多いはず。
この記事では、もっとも体系化されているイギリス貴族(Peerage)を中心に、ヨーロッパの爵位を上から順番にわかりやすく解説します。
ヨーロッパの歴史・物語・王室ニュースがもっと理解しやすくなります。
ヨーロッパの爵位を上級順に並べると?
まずは結論。ヨーロッパの代表的な爵位は、次の5階級が上から順番に並びます。
| 順位 | 爵位(英語) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 1位 | Duke(デューク) | 公爵 |
| 2位 | Marquess(マーキス) | 侯爵 |
| 3位 | Earl / Count(アール/カウント) | 伯爵 |
| 4位 | Viscount(ヴァイカウント) | 子爵 |
| 5位 | Baron(バロン) | 男爵 |
これはイギリスを中心としたヨーロッパで一般的な序列で、上から順に「より偉い」爵位となっています。
公爵(Duke)|貴族の最高位
公爵は王族に次ぐヨーロッパ貴族の最高位。
歴史的にもっとも大きな領地と強い軍事力を持ち、しばしば王に匹敵するほどの権力を持ちました。
公爵の特徴
- 貴族の最上位
- 王子・王族が授けられることも多い
- 領地(Duchy)を治め、政治的権力が大きい
たとえばイギリスでは、ウィリアム皇太子は「プリンス(王子)」であると同時に、Duke of Cambridge(ケンブリッジ公)の称号を持っています。
侯爵(Marquess)|国境地帯を守った高位貴族
侯爵は公爵に次ぐ高位の貴族。
歴史的には「国境の要所を守る役職」として選ばれ、軍事的にも政治的にも重要な存在でした。
侯爵の特徴
- 公爵の次に位置する高位貴族
- 国境・辺境の防衛を任されるケースが多かった
- 広い領地を持ち、伯爵より格上
イギリスでは「Marquess」、フランスでは「Marquis(マルキ)」と呼ばれます。
伯爵(Earl / Count)|豊かな領地を持つ中級貴族
伯爵は中級以上の重要な貴族。
イギリスでは「Earl」、大陸ヨーロッパでは「Count(カウント)」と呼ばれます。
伯爵の特徴
- 侯爵と子爵の中間に位置
- 豊かな領地や城を持つ
- 政治力は大きいが“辺境管理者”の侯爵よりは下位
女性形は「Countess(カウンテス)」で、ヨーロッパでは一般的な称号です。
子爵(Viscount)|伯爵を補佐した実務的な貴族
子爵は伯爵を補佐した下位の貴族。
語源は“Vice-count(副伯)”とされ、実務面で伯爵を支える位置づけでした。
子爵の特徴
- 中下級の貴族階級
- 領地はあるが規模はやや小さい
- 中間管理職のような実務中心の役割だった
イギリスでは比較的後期に生まれた爵位で、貴族の中では中堅クラスとされます。
男爵(Baron)|貴族階級の最下位だが地位は高い
男爵は貴族の中では最下位。
とはいえ“貴族ではない人々”とは大きな差があり、政治力・経済力を持つ階級です。
男爵の特徴
- 爵位の中では最下位
- 城や領地を持つこともある
- 議会の上院(貴族院)に参加した国もある
現代の英国では「生涯貴族(Life Peer)」も男爵として扱われます。
ヨーロッパ各国の爵位の違い
爵位の序列はヨーロッパでほぼ共通ですが、国ごとに呼び方が異なる場合があります。
| 順位 | イギリス | フランス | ドイツ | 日本語 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | Duke | Duc | Herzog | 公爵 |
| 2位 | Marquess | Marquis | Markgraf | 侯爵 |
| 3位 | Earl / Count | Comte | Graf | 伯爵 |
| 4位 | Viscount | Vicomte | Vizegraf | 子爵 |
| 5位 | Baron | Baron | Freiherr | 男爵 |
どの国でも基本構造はほぼ同じですが、呼称や歴史的背景が微妙に異なります。
爵位は「王の補佐官」から生まれた
ヨーロッパの爵位は、単なる「身分」ではなく、もともとは王が国を治めるために必要な役割から生まれました。
爵位誕生の背景
- 王が全ての土地を管理するのは不可能だった
- そのため土地を部下(貴族)に与え、統治を任せた
- 貴族は代わりに軍を率いて国を守った
- その役割と領地の規模によって爵位の序列が決まった
この仕組みが中世ヨーロッパの封建制度(フェーダリズム)です。
日本の「華族」との対応表
明治時代の日本でもヨーロッパ方式を参考に「華族」を設けました。
| 欧州の爵位 | 日本の華族 |
|---|---|
| 公爵(Duke) | 公爵 |
| 侯爵(Marquess) | 侯爵 |
| 伯爵(Earl / Count) | 伯爵 |
| 子爵(Viscount) | 子爵 |
| 男爵(Baron) | 男爵 |
日本はヨーロッパの序列をほぼそのまま採用しています。
まとめ|ヨーロッパの爵位は5階級で序列が明確
ヨーロッパの爵位をまとめると、次のようになります。
- 1位:公爵(Duke)
- 2位:侯爵(Marquess)
- 3位:伯爵(Earl / Count)
- 4位:子爵(Viscount)
- 5位:男爵(Baron)
上位ほど領地が広く、軍事力・政治力があり、王に近い存在でした。
この序列を理解しておくと、ヨーロッパ史や物語、王室ドラマの理解が一気に深まります。


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