【生薬と漢方薬の違い】意味・役割・使われ方をわかりやすく解説
「生薬(しょうやく)」と「漢方薬(かんぽうやく)」は、どちらも薬として使われるため似たように思われがちですが、
実は用途も意味も大きく異なる言葉です。
本記事では、両者の違いを初心者にもわかりやすく解説し、さらに比較表を用いて整理します。
生薬とは?(単体の天然由来の薬)
生薬とは、植物・動物・鉱物などの天然素材をほぼそのまま乾燥または加工したものを指します。
乾燥した根・葉・実・樹皮などがそのまま薬効を持っているため、それを煎じたり飲んだりして利用します。
例:
- 葛根(かっこん)…風邪の初期に用いられるクズの根
- 生姜(しょうきょう)…ショウガの根茎
- 甘草(かんぞう)…甘味があり、炎症を抑える働き
生薬は単体で成り立つ「素材そのもの」であり、それ自体が一種類の薬と考えられます。
漢方薬とは?(複数の生薬を組み合わせた処方)
漢方薬とは、複数の生薬を組み合わせ、決められた分量・組み合わせで処方された薬です。
日本で使われる漢方薬は、古くから続く東洋医学の理論をもとに作られており、人体のバランスを整えることを目的としています。
例:
- 葛根湯(かっこんとう)…葛根・麻黄・桂皮など7つの生薬の組み合わせ
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)…腎機能を補うための8種の生薬
- 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…アレルギー症状に使われる処方
つまり漢方薬は、生薬を組み合わせた「完成された薬剤」という位置づけです。
【比較表】生薬と漢方薬の違い
| 項目 | 生薬 | 漢方薬 |
|---|---|---|
| 意味 | 自然素材そのもの(1種類) | 複数の生薬を組み合わせた薬 |
| 形態 | 乾燥した根・葉・皮・実など | 煎じ薬、粉末、エキス剤など |
| 目的 | 素材ごとの薬効を得る | 体質改善・症状の調和を図る |
| 種類 | 単体 | 数種〜十数種を組み合わせる |
| 利用例 | ショウガを直接煎じるなど | 葛根湯など決まった処方 |
生薬が集まって漢方薬になる
簡単にまとめると、生薬が部品、漢方薬が完成品のような関係です。
たとえば「葛根」は生薬ですが、これに麻黄や桂皮などが加わると「葛根湯」という漢方薬になります。
このように、生薬は漢方薬の基本材料となり、複数が組み合わされることでより複雑な効果を生み出します。
生薬と漢方薬、どちらを使うべき?
一般的には漢方薬のほうが使いやすく安全性も確立されています。
生薬を単体で扱うには専門知識が必要なため、市販されているものもほとんどは「漢方薬」として配合された形です。
- 手軽に使いたい → 漢方薬
- 素材の薬効を直接得たい → 生薬(要専門知識)
体質に合わせて処方される漢方薬は、症状の根本を整えるという観点で利用されることが多いです。
まとめ
生薬は自然素材そのものの薬、
漢方薬は生薬を組み合わせた伝統医学の薬です。
両者の違いを知ることで、薬の正しい選び方や漢方への理解が深まります。
漢方を試してみたい方は、専門の医師や薬剤師に相談すると安心です。


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