戸籍謄本と戸籍抄本の違いをわかりやすく解説
役所で「戸籍謄本(こせきとうほん)」と「戸籍抄本(こせきしょうほん)」のどちらを取るべきかわからない……という人は意外と多いものです。
どちらも戸籍に関する証明書ですが、記載内容や用途に明確な違いがあります。
この記事では、戸籍制度が初めての人でも理解できるように、謄本と抄本の違いを丁寧に解説します。
まず結論|謄本は「戸籍全員」、抄本は「個人だけ」
戸籍謄本と戸籍抄本の最大の違いは、記載される範囲の広さです。
- 戸籍謄本:戸籍に入っている全員の情報が載ったもの
- 戸籍抄本:戸籍の中の特定の個人だけを抜き出したもの
この点を押さえると、必要な書類を迷わず選べるようになります。
比較表で見る|戸籍謄本と戸籍抄本の違い
| 項目 | 戸籍謄本 | 戸籍抄本 |
|---|---|---|
| 記載内容 | 同一戸籍に属する全員の情報 | 戸籍内の特定の個人のみ |
| 用途 | 相続、結婚、パスポート申請など | 個人の確認が目的の手続き |
| メリット | 家族全体の状況がわかる | 不要な情報を含まず扱いやすい |
| 取得時の注意 | 家族(戸籍全員)の情報が含まれるため慎重に扱う | 必要な人物を指定する必要がある |
| 発行者 | 本籍地の市区町村役場 | 同じく本籍地の市区町村役場 |
戸籍謄本とは?特徴と使われる場面
●戸籍全体の情報がわかる書類
戸籍謄本は、戸籍に記録された全ての人の情報を丸ごと写したものです。
氏名、生年月日、親子関係、配偶者、出生・婚姻・死亡の記録など、戸籍全員の事項が確認できます。
●主に使われる場面
- 相続手続き(家族全員の関係を確認する必要がある)
- パスポート申請
- 婚姻届の提出
- その他、身分関係の証明が必要なとき
家族関係の全体像が必要な場面で使われることが多く、最も利用範囲の広い書類です。
戸籍抄本とは?特徴と使われる場面
●特定の個人だけを抜き出した書類
戸籍抄本は、戸籍の中から必要な人物だけを抜き出して記載された書類です。
自分だけ、または家族の誰か1人だけの情報が欲しいときに便利です。
●主に使われる場面
- 個人の身分関係を証明する必要があるとき
- 会社への提出書類
- 特定の手続きで個人情報だけが必要な場合
家族全員の情報は不要だが、該当者の身分事項だけ確認できれば良い手続きによく使われます。
どちらを取れば良い?迷ったときの判断ポイント
●家族全体の情報が必要かどうか
- 相続など家族関係を証明 → 謄本
- 特定の個人の情報だけ必要 → 抄本
●提出先が指定している場合は指示に従う
役所や金融機関が「戸籍謄本を提出」と明記している場合は、必ず謄本を取得しましょう。
●迷ったら謄本の方が安全
書類の指定が曖昧な場合は、謄本のほうが間違いありません。
ただし個人情報量が多いため、取り扱いには注意しましょう。
戸籍謄本・抄本の取得方法
●取得できる場所
- 本籍地の市区町村役場の窓口
- 郵送請求
- マイナポータル(対応していれば)
●必要なもの
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 手数料(一般的に450円前後)
- 委任状(代理人が取得する場合)
よくある質問(FAQ)
Q. 自分の戸籍謄本を本籍地以外の役所で取得できますか?
多くの場合は取得できません。
本籍地の役所のみで発行されます。ただし一部自治体ではマイナンバーを利用した広域交付に対応しています。
Q. 家族でも勝手に謄本・抄本を取ることはできますか?
できません。
正当な理由が必要で、場合によっては委任状が必要です。
Q. どちらが一般的に使われますか?
提出先の指示によりますが、証明力の高い戸籍謄本のほうが使用頻度は高いです。
まとめ|違いは「記載範囲の広さ」
戸籍謄本は「家族全員の情報」が記載され、戸籍抄本は「個人の情報だけ」を取り出したものです。
用途によって使い分けることで、必要な書類をスムーズに準備できます。
戸籍の仕組みは複雑に思われがちですが、この基本を押さえておけば安心です。


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