認知症とアルツハイマーの違いをわかりやすく解説
「認知症」と「アルツハイマー」は同じように思われがちですが、実は全く違う概念です。
結論を一言で言うと、
認知症=症状の総称
アルツハイマー=認知症を引き起こす原因疾患のひとつ
この記事では、両者の違いをわかりやすく整理し、比較表や症状の特徴、進行の違いまで詳しく解説します。
認知症とアルツハイマーの違い(比較表)
| 項目 | 認知症 | アルツハイマー病 |
|---|---|---|
| 分類 | 状態(症状)の総称 | 認知症を引き起こす病気のひとつ |
| 原因 | 複数の疾患が原因でなる | 脳に異常タンパク質が蓄積する病気 |
| 主な症状 | 記憶障害・判断力低下・徘徊など | 記憶障害が初期から強く出る |
| 発症年齢 | 加齢に伴う | 高齢者に多い(若年性もあり) |
| 治療 | 原因によって異なる | 進行を遅らせる薬はある |
| 治るか | 原因が改善すれば治るタイプもある | 完治は難しい |
認知症とは?
認知症は病名ではなく、脳の働きが低下し、生活に支障が出る「状態」を指す言葉です。
たとえば以下のような症状があります。
- もの忘れが増える
- 判断力・理解力が低下する
- 時間や場所がわからなくなる
- 性格が変わる
- 同じ質問を繰り返す
認知症になる原因はさまざまで、以下のような疾患が代表です。
- アルツハイマー病(最も多い)
- 脳血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
- その他(慢性硬膜下血腫、ビタミン不足など)
つまり、「認知症です」と診断されたとしても、
その裏には原因となる病気が存在するのです。
アルツハイマー病とは?
アルツハイマー病は、脳に「アミロイドβ」などの異常タンパク質がたまり、脳の神経細胞が徐々に壊れていく疾患です。
認知症の約60〜70%を占め、最も多いタイプの認知症の原因です。
アルツハイマー病の主な特徴
- 記憶障害が最初に強く出る
- 徐々に進行する(年単位で悪化)
- 原因は完全には解明されていない
- 完治は難しいが、進行を遅らせる薬がある
アルツハイマー病の初期症状
- 最近の出来事を忘れる
- 同じ話や質問を何度も繰り返す
- 物の置き忘れが増える
- 予定を思い出せない
特に、「エピソード記憶(経験の記憶)」が最初に障害されるのが特徴です。
認知症=アルツハイマーではない
一般的に「認知症=アルツハイマー」というイメージがありますが、正しくは違います。
認知症は「症状の総称」であり、
アルツハイマー病はその原因のひとつです。
風邪(症状の総称)とインフルエンザ(原因の病気)の関係に少し似ています。
アルツハイマー以外の認知症との違い
1. 脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血が原因。症状は階段状に悪化します。
2. レビー小体型認知症
幻視(見えないものが見える)が特徴。認知の波が激しい。
3. 前頭側頭型認知症
人格変化や問題行動が出やすい。若い人にも発症します。
これらと比べると、
アルツハイマーは「記憶の障害」から始まるタイプです。
治療と向き合い方の違い
認知症(全体)
原因によって治療が大きく変わります。
治る認知症(ビタミン不足・水頭症など)もあります。
アルツハイマー病
現在は「進行を遅らせる薬」が中心。
適切なケアと早期発見が非常に重要です。
まとめ
認知症は症状の総称
アルツハイマー病は認知症の原因となる病気
このように、両者は似ているようで役割が全く異なります。
正しい理解は、家族のケアや早期の対処にもつながります。
気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談することが大切です。


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