内定と労働契約の法的関係|成立時期と注意点をわかりやすく解説
就職活動や転職活動をしていると「内定」という言葉をよく目にしますが、法的にはどのような意味を持つのでしょうか?
本記事では、内定と労働契約の法的関係を初心者でもわかるように整理し、よくある誤解やトラブルを未然に防ぐポイントまで解説します。
1. 内定とは何か?
内定とは、会社が労働者に対して将来の雇用について意思表示をすることです。
これは口頭でも書面でも可能ですが、一般的には書面で通知されることが多いです。
内定には主に次の特徴があります:
- 雇用開始の時期が確定している
- 条件(給与・就業時間・勤務地など)が示されている
- 将来の労働契約締結を前提としている
2. 労働契約はいつ成立するのか?
法的に労働契約が成立するタイミングは、会社と労働者の間で労務提供と対価支払の合意が成立した時点です。
具体的には、以下の段階があります:
- 内定通知(意思表示の段階)
- 労働契約締結(契約書に署名押印など、両者の合意)
- 就業開始(実際に働き始める)
一般的に内定は労働契約の成立要件を満たしている場合がある
3. 内定と労働契約の違い(比較表)
| 項目 | 内定 | 労働契約 |
|---|---|---|
| 法的拘束力 | 原則あり(条件次第で契約と同等) | 確定的な法的拘束力あり |
| 成立時期 | 合意表示時点(書面推奨) | 労務提供と対価支払の合意時点 |
| 解除 | 原則自由ではない(不当な撤回は違法) | 法律に基づく手続きが必要 |
| 契約書の有無 | 必須ではない | 原則として書面がある |
4. 内定撤回はできるのか?
内定を出した後でも、会社側が一方的に撤回できる場合がありますが、原則として正当な理由が必要です。
例えば:
- 重大な経歴詐称が判明した場合
- 会社の経営状況が著しく悪化した場合(例外的)
一方、単純に「気が変わった」「他の人を採用したい」だけでは撤回は認められず、損害賠償の対象になる可能性もあります。
5. 内定時に押さえておきたい書類と確認事項
内定段階でも以下の点をしっかり確認しておくことが大切です。
- 雇用開始日
- 給与・手当・昇給制度
- 試用期間の有無と条件
- 労働時間・休日休暇の条件
これらは後でトラブルになりやすいため、内定通知書や条件通知書で明確にしておきましょう。
6. 関連記事:試用期間とは?
労働契約における重要な期間として「試用期間」があります。
試用期間のルールについては、こちらの記事で詳しく解説しています→
試用期間の法的意味とルール
まとめ:内定は「始まりの合意」であり、契約は「働くための確定した関係」
内定と労働契約は密接に関係しますが、法的な性質や効力は異なります。
内定は将来の労働契約の合意表示として法的な意味を持つ場合があり、むやみに軽く扱うべきではありません。
また、内定撤回や条件変更は法的制限があるため、正確な理解が重要です。
法的なトラブルを避け、安心して就業できるよう、内定段階から条件を丁寧に確認しましょう。

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