米ロ核軍縮条約「新START」と中国の反発理由
ニュースなどで「新START(ニュー・スタート)」という言葉を見かけることがありますが、内容まで理解している人は多くありません。
新STARTは、アメリカとロシアという世界最大級の核保有国同士が結んだ核軍縮条約で、国際社会の安全保障に大きな影響を与えてきました。
一方で、この条約をめぐって中国が強い不満や反発を示していることも注目されています。
本記事では、新STARTとは何か、その目的や仕組み、そして中国が怒っている理由までを、できるだけ分かりやすく解説します。
新START条約とは何か
新START条約とは、正式には「新戦略兵器削減条約(New Strategic Arms Reduction Treaty)」と呼ばれる核軍縮条約です。
2010年にアメリカとロシアの間で署名され、2011年に発効しました。
冷戦時代から続いてきた核兵器の削減交渉の流れを引き継ぐ形で誕生した条約です。
この条約の最大の目的は、両国が保有する戦略核兵器の数を制限し、核戦争のリスクを下げることにあります。
具体的には、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機に搭載される核弾頭の数を制限しています。
新STARTの具体的な内容
新STARTでは、以下のような上限が定められています。
- 配備核弾頭数:1550発まで
- 配備された戦略運搬手段:700基まで
- 配備・非配備を含む戦略運搬手段:800基まで
さらに、この条約の重要なポイントとして「相互査察」があります。
アメリカとロシアは互いの核施設を視察し、条約が守られているかを確認できます。
これにより、疑心暗鬼を減らし、軍拡競争を防ぐ仕組みが作られてきました。
なぜ新STARTは重要なのか
世界には核兵器を保有する国が複数存在しますが、アメリカとロシアだけで世界の核弾頭の約9割を保有していると言われています。
そのため、この2国の核兵器管理は、世界全体の安全保障に直結します。
もし新STARTが存在しなければ、両国が再び核兵器の増強競争に突入する可能性があります。
そうなれば、核兵器の数が増え、事故や誤発射のリスクも高まります。
新STARTは、核兵器の「歯止め」として国際社会にとって非常に重要な役割を果たしてきたのです。
新STARTと中国の関係
ここで疑問に思う人も多いでしょう。
なぜ米ロ間の条約なのに、中国が怒っているのでしょうか。
中国はアメリカやロシアと比べると、核弾頭の保有数は少ないとされています。
しかし近年、中国は核戦力を急速に近代化・増強しており、国際社会からも注目されています。
中国が反発する最大の理由
中国が新STARTに強く反発する理由の一つは、「中国を巻き込もうとする動き」です。
アメリカは過去に、新STARTの枠組みを拡大し、中国も含めた多国間の核軍縮交渉を行うべきだと主張してきました。
しかし中国側はこれに強く反発しています。
その理由は、中国の核戦力が米ロに比べて圧倒的に少ないためです。
同じ枠組みで制限をかけられれば、中国だけが不利になると考えているのです。
中国の主張とは
中国政府は一貫して、「核兵器を大量に保有している国が先に削減すべきだ」と主張しています。
つまり、まずは米ロが大幅に核を減らし、その後で初めて中国が交渉のテーブルにつくべきだ、という立場です。
また、中国は自国の核戦力について「最小限の抑止力」であると説明しています。
これ以上制限を課されると、国家安全保障が脅かされるという認識を持っています。
新START停止と国際情勢への影響
近年、ロシアが新STARTの履行停止を表明するなど、条約を取り巻く状況は悪化しています。
これにより、米ロ間の核管理の透明性は大きく低下しました。
この状況は中国にとっても無関係ではありません。
米ロの核管理が崩れれば、国際社会全体が不安定化し、中国も軍備拡張を正当化しやすくなります。
その結果、核軍拡の連鎖が起きる可能性も指摘されています。
新STARTが示す今後の課題
新STARTは単なる米ロ間の条約ではなく、「核兵器とどう向き合うか」という人類全体の課題を象徴しています。
中国が反発している背景には、自国の安全保障だけでなく、大国間の力関係や国際秩序の変化があります。
今後、米ロ中を含む核保有国がどのような形で対話を進めるのかが、世界の平和を左右する重要なポイントとなるでしょう。
新STARTを理解することは、現代の国際情勢を読み解く第一歩と言えます。

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