江戸時代の一両は今のいくら?時代の物価からリアルに換算
時代劇などでよく耳にする「一両」。
「親分!これで勘弁してください!」なんてシーンでも登場しますが、実際にはどれくらいの価値があったのでしょうか?
今回は、江戸時代の一両が現代のお金でいくらに相当するのか、物価や給料などをもとにわかりやすく解説します。
まず「一両」とは?
「一両(いちりょう)」とは、江戸時代に使われていた金貨の単位です。
金貨の正式名称は小判(こばん)で、そのうち一枚が「一両小判」と呼ばれました。
江戸幕府は金・銀・銭の三貨制度を採用しており、一両は金貨の基準単位だったのです。
つまり、「一両=一枚の金小判」。
この一両の重さは約18グラムで、金の含有量はおよそ17〜18グラム前後。
時期によって金の純度が違うため、時代によって価値も少し変わります。
単純に金の価値で換算すると?
2025年現在、金の価格はおよそ1グラム=1万円前後です。
つまり、
17g × 1万円 = 約17万円
金の量だけで換算すると、「一両=約17万円前後」という計算になります。
ただし、これはあくまで“金そのもの”の価値。
実際の生活における価値は、物価や給料を考慮する必要があります。
江戸時代の物価を見てみよう
江戸時代の一両で、どんなものが買えたのでしょうか?
いくつかの記録から、おおまかな物価を見てみましょう。
| 品物・サービス | 値段(江戸時代) | 現代換算(おおよそ) |
|---|---|---|
| そば一杯 | 16文(約0.0003両) | 約300円 |
| 米1俵(約60kg) | 1両前後 | 約15万円 |
| 長屋の家賃(1ヶ月) | 1分(1/4両) | 約4万円 |
| 銭湯の入浴料 | 8文 | 約150円 |
| かけそばの屋台 | 16文 | 約300円 |
| 刀(上質なもの) | 3〜5両 | 約50〜80万円 |
これを見ると、「一両」がかなりの購買力を持っていたことがわかります。
庶民にとっては、1両はちょっとした大金だったのです。
江戸時代の給料と比べてみる
江戸時代の給料を参考にすると、さらにリアルな換算ができます。
- 町人や職人の1ヶ月の収入:およそ1両前後
- 大工の1日の日当:100〜200文(約0.005両)
- 武士(旗本クラス)の年収:100石=約100両程度
つまり、庶民の1ヶ月分の生活費が「1両」ほど。
このことからも、「一両=15万円前後(現代の1ヶ月生活費)」と考えると実感が湧きます。
時代によって「一両」の価値は変動していた
実は江戸時代の「一両」は時代によって金の含有量や流通価値が変わっていました。
幕府の財政難などにより、小判の金含有量が減らされたこともありました。
| 時期 | 小判の種類 | 金の含有量 | 現代換算(目安) |
|---|---|---|---|
| 慶長小判(1601年) | 17.85g | 約18万円 | |
| 元禄小判(1695年) | 13.5g | 約13万円 | |
| 天保小判(1837年) | 11.3g | 約11万円 | |
| 安政小判(1859年) | 8.5g | 約8万円 |
このように、江戸時代後期には金の価値が下がり、庶民の感覚でも「一両」の重みが少しずつ変わっていったのです。
庶民にとっての「一両」とは?
江戸時代の庶民にとって一両は、「月給1ヶ月分」または「ちょっとした贅沢ができる金額」でした。
ドラマなどで「一両あげよう」と言えば、それは“ご祝儀レベル”のかなりの額。
実際に手にすることは少なく、多くの庶民は銭(文)や銀を使って日常生活を送っていました。
まとめ:江戸時代の一両=今の15万円前後
江戸時代の一両を現代の価値に直すと、時期や換算方法によって差はありますが、
おおよそ10万円〜20万円前後と考えられます。
金の価格・生活費・物価を総合すると、平均的に約15万円程度が妥当な目安です。
| 換算方法 | 一両の価値(現代円) |
|---|---|
| 金の含有量で換算 | 約17万円 |
| 庶民の生活費ベース | 約15万円 |
| 大工の日当比較 | 約10万円〜20万円 |
結論:「一両」は“庶民のひと月分の給料”
つまり、江戸時代の「一両」は今の感覚でいえば、月収1ヶ月分=15万円前後の価値を持つお金だったのです。
時代劇で「一両」と聞いたら、それは「ちょっとした給料袋1ヶ月分」と思えばイメージしやすいですね。


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