虹が7色なのはなぜ?科学と文化で変わる色の秘密
雨上がりの空に現れる美しい虹。私たちは当たり前のように「虹は7色」と教えられてきましたが、実は国や文化によって色の数が違うことをご存じですか?
この記事では、虹が7色とされる理由と、世界で異なる虹の色の見方を科学的・文化的な視点から解説します。
◆ 虹が見える仕組み
虹は、空気中の水滴が太陽の光を屈折・反射・分散することで現れます。
- 太陽光が雨粒の中に入るときに屈折する
- 水滴の内側で光が反射する
- 外に出るときに再び屈折し、色ごとに分かれる
このとき、光は波長の違いによって曲がり方が異なります。
波長の短い青や紫は大きく曲がり、波長の長い赤はあまり曲がらないため、結果として外側が赤、内側が紫のグラデーションが生まれます。
◆ なぜ「7色」なのか?
実際の虹は、赤から紫までの色が連続しており、明確に区切れるわけではありません。
ではなぜ「7色」とされているのでしょうか?
その理由は、17世紀の科学者アイザック・ニュートンにあります。
ニュートンはプリズム実験によって、白い光が分解されることを発見しました。
彼はその光の中から次の7色を定義します。
- 赤(Red)
- 橙(Orange)
- 黄(Yellow)
- 緑(Green)
- 青(Blue)
- 藍(Indigo)
- 紫(Violet)
なぜ7色にしたのかというと、ニュートンは音階(ドレミファソラシ)や曜日と同じく、自然界には「7」という調和の数字が存在すると考えていたからです。
そのため、実際の色の数よりも象徴的な意味で7色と定めたのです。
◆ 実際の虹は「7色以上」見える?
科学的には、虹は7色どころではありません。
太陽光には無数の波長が含まれているため、実際には連続した数百もの色が存在しています。
つまり、「7色」というのは人間が見やすく区切った便宜上の分類であり、
厳密には「無限に近いグラデーション」なのです。
さらに、人間の目の構造や感度の違いによって、見える色の数も変わります。
色の識別能力が高い人は、赤と橙の間や青と藍の間にも微妙な違いを見分けられる場合があります。
◆ 国や文化によって虹の色は違う
実は「虹=7色」と考えるのは日本や欧米の一部だけ。
世界では、文化や言語によって虹の色数が異なります。
| 国・地域 | 虹の色数 | 色の分類 |
|---|---|---|
| 日本 | 7色 | 赤・橙・黄・緑・青・藍・紫 |
| アメリカ・イギリス | 6~7色 | 藍を除くことが多い(赤〜紫) |
| フランス | 4色 | 青・黄・橙・赤 |
| ロシア | 7色(青と藍を区別) | 日本と似た区分 |
| アフリカの一部地域 | 2~3色 | 赤系・黄系・黒系として表現 |
このように、「虹の色の数」は文化的な感覚によるもので、
人間がどこで“色を区切るか”によって違って見えるのです。
◆ 日本で虹が7色になった理由
日本で「虹=7色」と教えられるようになったのは、明治時代以降。
西洋の科学が導入され、ニュートンの「7色理論」が教科書に採用されたためです。
江戸時代以前の日本では、虹の色は5色(赤・黄・緑・青・紫)とされていました。
五行思想(木・火・土・金・水)などの影響を受け、「5」という数字が自然の調和を象徴していたのです。
つまり、「虹が7色」という考え方は、西洋文化から輸入されたものだったのです。
◆ まとめ:虹の色は本当は無限にある
- 虹は太陽光が水滴で屈折・分散してできる現象
- 「7色」と決めたのはニュートンの理論が由来
- 実際は連続したグラデーションで、色の数は無限
- 国や文化によって虹の色の数は異なる
つまり、「虹が7色なのは自然現象ではなく、人間の感覚と文化の産物」。
美しい虹の色は、科学と人の心が生み出した“七色の幻想”ともいえるのです。


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