神社の鳥居はなぜ赤い?朱色に秘められた意味と由来を徹底解説
神社に行くと、まず目に入るのが「鳥居」。
参道の入口に立ち、神聖な空間への“門”としての役割を果たしています。
そして、多くの鳥居は美しい朱色(あか)に塗られています。
なぜ鳥居は赤いのでしょうか? 本記事では、その色に込められた意味や歴史を詳しく解説します。
鳥居は“現世と神域を分ける門”
まず、鳥居とは何かをおさらいしておきましょう。
鳥居は、神社の「入口」に設置される構造物で、現世(人の世界)と神域(神の世界)を分ける境界線を示すものです。
つまり、鳥居をくぐるという行為には「俗世を離れて神の前に立つ」という意味が込められています。
鳥居の形にはさまざまな種類があり、有名な「明神鳥居」や「神明鳥居」などがありますが、どの形でも“神と人との結界”という役割は共通しています。
なぜ鳥居は“朱色(赤色)”なのか?
日本中の神社を見渡すと、ほとんどの鳥居が赤く塗られています。
実はこの「朱色」には、単なる装飾ではない深い意味があるのです。
① 魔除けの意味
古来より、日本では赤い色には魔除けの力があると信じられてきました。
火や太陽を連想させる赤は、“生命力”や“再生”を象徴する色でもあり、悪霊や災厄を遠ざけるとされていました。
そのため、神聖な場所である神社を守るために、鳥居を赤く塗って邪気を防ぐという意味が込められたのです。
② 朱色の原料「丹(に)」の防腐効果
昔の朱色の塗料は、自然の鉱物である丹(に)=水銀朱(硫化水銀)を原料にしていました。
この丹には防腐・防虫効果があり、木造の鳥居を長持ちさせる役割も果たしていたのです。
つまり朱色は「宗教的な意味」と「実用的な効果」の両方を兼ね備えた、理にかなった選択だったわけです。
③ 神聖な色としての“赤”
神道では、赤は太陽・血・命・浄化を象徴する色。
古くから「赤=神聖」「白=清らか」とされ、この二色は儀式や衣装などでもよく使われてきました。
たとえば、巫女が身につける装束も「白と赤」です。
この組み合わせは、「穢れを祓い、神に仕える純粋な姿」を表しているのです。
なぜ全ての鳥居が赤いわけではないの?
一方で、すべての神社の鳥居が赤いわけではありません。
白木のまま、黒っぽい木製、あるいは石や金属の鳥居も存在します。
これは、神社の祭神や由緒、地域性による違いです。
| 鳥居の色 | 特徴・意味 | 代表的な神社 |
|---|---|---|
| 朱色 | 魔除け・防腐・生命力を象徴 | 伏見稲荷大社(京都)など |
| 白木(無塗装) | 純粋・清浄を表す | 伊勢神宮(三重)など |
| 黒色 | 厳粛・威厳を示す | 日光東照宮(栃木)など |
| 石・金属 | 耐久性や荘厳さを重視 | 護国神社など |
たとえば伊勢神宮の鳥居は、朱ではなく白木のまま。
これは、装飾よりも清らかさを重んじる神社の性質によるものです。
一方で、商売繁盛や五穀豊穣を祈る稲荷神社では、朱色の鳥居が多く見られます。
伏見稲荷大社の千本鳥居が赤い理由
京都の伏見稲荷大社は、朱色の鳥居がずらりと並ぶ「千本鳥居」で有名です。
ここでの朱色は、まさに稲荷大神の力を象徴しています。
稲荷神は五穀豊穣・商売繁盛の神であり、朱色は生命力・繁栄・活力の象徴とされているのです。
また、鳥居を奉納することで「神の加護を受け、事業が繁盛する」と信じられ、多くの人が朱塗りの鳥居を奉納してきました。
その結果、現在のような壮大な朱のトンネルが生まれたのです。
朱色は日本人の“祈りの色”
古代から現代に至るまで、日本では赤い色が特別視されてきました。
赤ちゃんが着る産着、お守りのひも、祝いの飾り――どれも朱や赤を基調としています。
そこには、命・健康・幸福を願う日本人の祈りが込められているのです。
鳥居が朱色であることも、単なる伝統ではなく、「神と人とをつなぐ祈りの色」として受け継がれてきた文化なのです。
まとめ:朱色の鳥居は“神聖さ”と“実用性”の融合
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 魔除け | 赤は悪霊を祓う神聖な色とされた |
| 防腐効果 | 朱色の原料「丹」には防腐・防虫の作用がある |
| 信仰の象徴 | 赤は太陽や命、繁栄のシンボル |
| 文化的継承 | 古来の信仰と建築技術が融合して続いている |
朱色の鳥居は、美しいだけでなく、日本人の信仰心・知恵・美意識が結晶した存在です。
次に神社を訪れたときは、鳥居の色に込められた「願い」や「意味」にも、少しだけ思いを馳せてみてください。


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