PX(Paternity Transformation)とは?父親の役割が大きく変わる時代の新キーワード
近年、子育て・働き方・ジェンダーの文脈で注目されているキーワードに
PX(Paternity Transformation/パタニティ・トランスフォーメーション)があります。
PXは、単に「パパの育児参加」ではなく、“父親という役割そのものが社会的に変革していくこと”を指します。
企業、行政、教育分野でも使われ始めており、令和の子育て・働き方に欠かせない概念です。
PX(Paternity Transformation)とは?
PXとは、直訳すると「父性の変革」。
従来の「仕事中心で家にはあまり関わらない父親像」から、
家庭・育児・家事・感情表現にも積極的に関わる新しい父親像へと変化していく流れをまとめた概念です。
PXでは次の3つが重要な要素とされています。
- ①父親としての役割変化(育児参加 → 育児の主体へ)
- ②働き方の変容(長時間労働 → ワークライフバランスの最適化)
- ③社会・企業・家庭の価値観変化(「父親も子育てするのが当たり前」へ)
PXは、パパ個人の成長だけでなく、家庭・企業・社会全体を変えていく大きな動きでもあります。
PXが注目される理由
日本でPXが話題になる背景には、社会構造の変化があります。
1. 共働き世帯が主流に
共働き世帯はすでに単独世帯の約2倍以上となり、父親も家庭に関わらなければ成り立たなくなっています。
2. 男性育休の取得が拡大
法改正で男性育休が取りやすくなり、「パパの育児参加」が社会の後押しを受けています。
3. 子どもの発達における父親関与の重要性
研究で「父親と過ごす時間は子の非認知能力や自己肯定感を高める」とされ、父親の役割が再評価されています。
4. 企業のEX(従業員体験)向上の一環
企業は「父親が働きやすい制度=優秀な人材確保」と考え、PXを推進するケースも増えています。
PXとCX・EX・DXの違い(比較表)
| 用語 | 正式名称 | 意味・目的 | 対象 |
|---|---|---|---|
| CX | Customer Experience | 顧客体験の向上 | 顧客 |
| EX | Employee Experience | 従業員体験の最適化 | 社員 |
| DX | Digital Transformation | デジタルによる組織変革 | 社会・企業 |
| PX | Paternity Transformation | 父親像の変革/育児・働き方の変容 | 父親・家庭・企業・社会 |
PXは、CX/EX/DXと同様に「〜Transformation」の仲間ですが、
テーマが“家庭・育児・働き方の変革”に特化している点が特徴です。
PXが進むと父親はどう変わる?
①育児の“役割分担”ではなく“共同育児”が当たり前に
「手伝う」から「共に担う」へ。
父親自身が育児の主体者になっていきます。
②家事・育児に対する意識変化
・おむつ替え
・保育園の送迎
・料理や洗濯の一部担当
・寝かしつけ
これらが“特別なこと”ではなく“通常の父親業務”として定着していきます。
③感情的な関わりの増加
最近は「父親が子どもに愛情表現すること」も重視されています。
PXはケアする父親(ケアリングファーザー)という価値観にもつながります。
企業がPXを推進することで得られるメリット
- 男性社員の離職率低下
- 優秀な若手採用につながる
- 働きやすい企業としてブランド価値が向上
- 社員の幸福度(ウェルビーイング)向上
- 生産性の向上(家庭が安定 → 仕事の集中度UP)
実際、先進企業では「男性育休率100%」を目指し、PXを戦略として取り入れています。
パパが今日からできる“PXの実践方法”
1. 家事の「固定担当」を決める
皿洗い・朝食準備・洗濯物干しなど、パパのルーティン化がカギ。
2. 子どもとの「1対1の時間」を作る
毎日の読み聞かせ・休日の公園など、短時間でもOKです。
3. パートナーとの情報共有を習慣化
保育園の予定や子どもの体調を共有すると“ワンオペ”が解消されます。
4. 職場に育児の予定をオープンにする
父親が育児を優先する姿は、職場の文化そのものを変える一歩になります。
まとめ:PXは「父親をもっと豊かにする社会的ムーブメント」
PX(Paternity Transformation)は、父親像そのものが変化していく大きな社会の流れです。
・父親が育児に参加しやすい社会
・企業が父親を支援する制度
・家庭で“共育て=チーム育児”が当たり前
これらが揃って初めてPXは実現します。
「父親であることを、もっと楽しめる時代」が、本格的に始まっています。


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