特別養子縁組とは?条件や普通養子縁組との違いを解説
「特別養子縁組」という言葉をニュースやテレビなどで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
養子縁組というと、「子どもを養子にする制度」というイメージがありますが、実は日本の養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」という大きく異なる2つの制度があります。
特別養子縁組は、さまざまな事情によって実の父母による養育が難しい子どもについて、養親との間に実の親子に近い関係をつくるための制度です。
この記事では、特別養子縁組とはどのような制度なのか、普通養子縁組との違い、対象となる子どもの年齢、養親になれる条件、戸籍上の扱いなどを、できるだけわかりやすく解説します。
特別養子縁組とは?
特別養子縁組とは、子どもの利益を守るために、実の父母との親子関係を法律上終了させ、養親との間に実の親子と同様の親子関係を成立させる制度です。
一般的な養子縁組では、養子になった後も実の父母との法律上の親子関係が残ります。
一方、特別養子縁組では、原則として実の父母との法律上の親子関係が終了します。
そのため、単に「子どもを養子として迎える」というだけではなく、子どもが養親のもとで安定した家庭生活を送れるようにすることを大きな目的としています。
たとえば、実の父母による虐待や育児放棄、病気、経済的な事情などによって、子どもを家庭で育てることが難しいケースなどが制度の対象となることがあります。
普通養子縁組との違い
特別養子縁組を理解するうえで重要なのが、普通養子縁組との違いです。
| 項目 | 特別養子縁組 | 普通養子縁組 |
|---|---|---|
| 実の父母との親子関係 | 原則として終了 | 残る |
| 養親との親子関係 | 成立する | 成立する |
| 主な目的 | 子どもの健全な養育・利益 | 親子関係の成立など |
| 成立方法 | 家庭裁判所の審判 | 原則として当事者間の合意など |
| 実親との相続関係 | 原則として終了 | 残る |
最大の違いは、実の父母との法律上の親子関係がどうなるかです。
普通養子縁組では、養親との親子関係ができても、実の父母との親子関係は基本的にそのまま残ります。
これに対して特別養子縁組では、一定の要件を満たしたうえで、実の父母との法律上の親子関係を終了させます。
特別養子縁組は何歳まで?
特別養子縁組には、養子となる子どもの年齢について条件があります。
現在の制度では、原則として15歳未満の子どもが対象です。
ただし、15歳になる前から特別養子縁組のための養育が始まっていた場合など、一定の条件を満たせば、18歳未満の子どもについても対象となる場合があります。
そのため、「15歳になったら必ず特別養子縁組ができなくなる」という単純な制度ではありません。
また、子どもの年齢だけではなく、実の父母による養育が困難または不適当であることなど、さまざまな事情が考慮されます。
養親になれる人にも条件がある
特別養子縁組では、誰でも養親になれるわけではありません。
養親となる人についても法律上の条件があります。
特別養子縁組では、原則として夫婦が共同して養親となる必要があります。
また、養親となる人には一定の年齢要件があり、原則として25歳以上であることが必要です。
ただし、夫婦の一方が25歳以上であれば、もう一方は20歳以上であればよいとされています。
さらに、子どもの年齢や養親との年齢差なども考慮されます。
特別養子縁組は、単純に「子どもを育てたい」という希望だけで成立するものではなく、子どもの利益を最優先に判断される制度だからです。
家庭裁判所の審判が必要
普通養子縁組とは異なり、特別養子縁組を成立させるためには、原則として家庭裁判所の審判が必要です。
家庭裁判所では、子どもが養親のもとで安定して生活できるか、養親となる人が子どもを適切に養育できるか、実の父母との関係など、さまざまな事情が確認されます。
特別養子縁組では、養親と子どもの関係だけでなく、子どもの将来を含めて慎重に判断されることになります。
試験養育期間がある
特別養子縁組では、いきなり正式な親子関係を成立させるのではなく、養親となる人と子どもが実際に一緒に生活し、家庭生活を築いていく期間が設けられます。
この期間は、養親と子どもの関係を確認するために重要です。
一緒に暮らしてみることで、食事や生活習慣、学校生活、子どもの性格など、さまざまなことを理解していきます。
家庭裁判所も、こうした生活状況などを踏まえて、特別養子縁組が子どもの利益になるかを判断します。
特別養子縁組が成立すると戸籍はどうなる?
特別養子縁組が成立すると、子どもは法律上、養親の実の子どもと同じような身分になります。
戸籍についても、普通養子縁組とは異なる扱いになります。
戸籍上は、実の父母との親子関係が終了するため、一般的な普通養子縁組とは記載のされ方が異なります。
これは、特別養子縁組が「養子」という関係をつくるだけではなく、子どもと養親の間に実の親子と同様の関係をつくる制度だからです。
ただし、特別養子縁組の事実が完全に存在しなかったことになるわけではありません。
実の父母との関係はどうなる?
特別養子縁組が成立すると、原則として実の父母との法律上の親子関係は終了します。
そのため、普通養子縁組とは異なり、実の父母との間にある扶養義務や相続関係などにも大きな違いが生じます。
一方で、特別養子縁組は「実の父母を否定するための制度」ではありません。
さまざまな事情によって実の父母が子どもを育てることが難しい場合に、子どもが安定した家庭環境の中で成長できるようにすることが重要な目的です。
なぜ特別養子縁組という制度があるの?
子どもにとって、安定した家庭環境で継続的に養育されることは非常に重要です。
しかし、すべての子どもが実の父母のもとで生活できるとは限りません。
虐待、育児放棄、病気、死亡、経済的な事情など、さまざまな理由によって家庭での養育が難しくなることがあります。
そうした子どもに対して、養親との間に法律上の強い親子関係をつくり、長期的に安定した家庭生活を保障するための仕組みの一つが特別養子縁組です。
つまり、特別養子縁組を考える際には、養親側の「子どもを迎えたい」という気持ちだけではなく、「その子どもにとって何が最善なのか」という視点が非常に重要になります。
特別養子縁組と里親制度は同じ?
特別養子縁組と似た制度として「里親制度」がありますが、両者は同じものではありません。
里親制度は、さまざまな事情によって家庭で生活できない子どもを、一定期間、里親の家庭で養育する制度です。
一方、特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって法律上の親子関係を成立させる制度です。
したがって、里親になったからといって自動的に特別養子縁組になるわけではありません。
| 項目 | 特別養子縁組 | 里親制度 |
|---|---|---|
| 法律上の親子関係 | 成立する | 原則として成立しない |
| 養育期間 | 原則として長期的 | 一定期間の場合がある |
| 成立方法 | 家庭裁判所の審判 | 里親として認定・委託 |
| 実の父母との関係 | 原則として法律上終了 | 基本的に残る |
特別養子縁組で大切なのは「子どもの利益」
特別養子縁組について考えるとき、最も重要なのは「大人の希望」ではなく子どもの利益です。
養親になる人にとっても、子どもを家庭に迎えることは人生を大きく変える出来事です。
子どもにとっても、生活する場所や人間関係が大きく変わる可能性があります。
そのため、特別養子縁組は慎重な手続きを経て成立する仕組みになっています。
単なる「子どもを引き取る制度」ではなく、子どもが安心して成長できる環境を法律によって保障するための制度と考えると、その意味がわかりやすいでしょう。
まとめ|特別養子縁組は子どものための制度
特別養子縁組とは、実の父母による養育が難しいなどの事情がある子どもについて、養親との間に実の親子と同様の法律上の親子関係を成立させる制度です。
普通養子縁組との大きな違いは、原則として実の父母との法律上の親子関係が終了することです。
また、対象となる子どもの年齢や養親となる人の条件などが定められており、家庭裁判所による審判も必要となります。
特別養子縁組という言葉だけを見ると、「養子になる制度」と考えてしまいがちです。
しかし、その根本にあるのは、さまざまな事情を抱える子どもが、安定した家庭環境の中で成長できるようにするという考え方です。
普通養子縁組、里親制度、特別養子縁組は、それぞれ目的や法律上の扱いが異なります。
制度について知る際には、それぞれの違いを理解し、「子どもにとって最もよい環境とは何か」という視点で考えることが大切です。
※特別養子縁組の条件や手続きは法改正などによって変更される場合があります。実際に制度を利用する場合は、最新の制度内容を確認することが大切です。


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