厚生年金と国民年金の違いをわかりやすく解説

日本の公的年金制度には「国民年金」と「厚生年金」があります。どちらも老後の生活を支える大切な制度ですが、加入できる人や保険料、将来もらえる年金額などに大きな違いがあります。
この記事では、初心者でもわかるように、両者の違いを詳しく解説します。

まずは基本｜全員が加入するのは国民年金

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人は、何らかの形で「国民年金（基礎年金）」に加入します。国民年金は、誰もが将来受け取る基礎的な年金で、土台となる制度です。

そして会社員や公務員などの人は、国民年金に加えて厚生年金にも加入する仕組みになっています。つまり厚生年金は「国民年金の上乗せ」のようなイメージです。

厚生年金と国民年金の違いを比較表で整理

項目	国民年金	厚生年金
対象者	自営業、学生、無職、フリーランスなど	会社員、公務員などの給与所得者
加入方法	自分で加入手続き	会社が自動的に加入手続き
保険料	定額（2024年度：月16,980円）	給与に応じて変動（労使折半）
会社負担	なし（全額自己負担）	あり（会社が半分負担）
将来の年金額	満額：月約66,000円	国民年金＋報酬比例部分で多くなりやすい
手続きの手間	自分で納付・申請が必要	給与天引きで手間なし
保険料の未納リスク	未納になりやすい	給与天引きのため未納が起きない

国民年金の特徴をわかりやすく解説

①保険料は全国一律の定額

国民年金は、所得に関係なく全員が同じ金額を支払います。
2024年度の保険料は月16,980円です。

②自分で支払う必要がある

自営業やフリーランスの人が多いため、支払いを忘れてしまい「未納」になる人が一定数います。
未納が続くと、将来の年金受給額が減ったり、障害年金がもらえない可能性もあります。

③受け取れる年金額は一定

国民年金は「基礎年金」と呼ばれ、みんなが同じルールで計算されます。
40年間支払った場合の満額は年約80万円（月約66,000円）です。

厚生年金の特徴を詳しく解説

①会社と本人で保険料を折半

厚生年金の最大のメリットは、保険料の半分を会社が負担してくれることです。
国民年金では全額自己負担なので、この点は非常に大きな違いです。

②給料によって保険料が変わる

厚生年金の保険料は給料（標準報酬月額）に比例して決まります。
収入が多い人は保険料も上がりますが、その分将来受け取れる年金額も増えます。

③将来受け取れる年金額が国民年金より多くなる

厚生年金は「国民年金＋報酬比例」の2階建て構造です。
つまり、給与が高い人や長く働く人は、老後に多くの年金を受け取れます。

④会社が手続きをしてくれるので手間ゼロ

会社員の場合、加入手続きも支払いも会社がやってくれるため、未納が起きません。

両者の最大の違いは「保険料負担」と「将来の受給額」

厚生年金は会社が保険料を半額負担するうえ、収入に応じて受給額が増えるため、老後の年金額が手厚くなります。
一方、国民年金は定額でわかりやすく、だれでも加入できますが、受給額は厚生年金に比べると少なめです。

よくある質問

Q. フリーランスは厚生年金に入れない？

原則入れませんが、「法人化して自分が会社員になる」ことで加入できます。

Q. 厚生年金のほうが得なの？

会社負担があるため、一般的には厚生年金のほうが受給額は多くなり、負担は軽いです。

まとめ：仕組みを知ると違いがよくわかる

国民年金は全員が加入する基礎的な制度、厚生年金は会社員や公務員が加入する手厚い制度です。
保険料の負担方法、受給額、手続きの簡単さなど、多くの点で違いがあります。
自分がどちらに加入しているのかを理解しておくことで、将来の資金計画にも役立ちます。